物語調で、めちゃくちゃ無駄に思われる文章が多いですが、都合2時間、酔った勢いだけで書いているのでご容赦くださいませ。酔った勢いなので常体と敬体とかもう何でもありです。ただ、現場の混乱は常体と敬体どころじゃなかったけれども!
2月27日(木)。何事も無く終わるはずの一日だった。
その日は理科のカリキュラム全部終了させ、最後の時間は電磁石でモーターを作ってレースカーにして遊ぶという、子どもたちにとっても楽しかった日。
たまたま隣もその隣も、移動教室でいなかったため、
「よし、今なら廊下で走らせて良し!」
と40mはあるだろう廊下を、自分たちが作ったモーターカーで競争させている様子を見ながら、「これ完全にミニ四駆やりたくなるやつ…」と内心思っていたりした日。
「明日は、午後出張(プログラミング教育関係で授業を見に行く)だから、よろしくね。」
と、明日の予定を軽くおさらい(週間予定を配っているので本当に軽く。)した、残り18日となった5年生の日々。
18人分の一言カレンダーが綴られた紙を一枚取り出し、教室の壁に掲示する。これが最終日には壁いっぱいにみんなへの一言が綴られた掲示物へと変貌を遂げるのだ。その日の担当者は日直をすると共に、帰りの会ではほめ言葉のシャワーをあびる。菊地先生のようにはうまくできていないけれども、誉める側も、誉められる側も、まんざらでもない表情を見せている様子を見ると、時間をかける価値はあると思う実践。
「先生また明日ねー」
なんて言いながら帰る子。
「今日はあんまり帰りたくないなぁ。」
なんて言いながらも、「そろそろ帰ってくれないと職員会議に間に合わないんだけど…」なんて言葉を私にかけられてしぶしぶ帰る子も。
職員会議では、卒業式のことはすでに1月には話し合いを終えており、入学式のことや新6年生が参加する準備登校について、来年度の校外学習についてなどが主な議題となる。事前に資料は配られ、一読はしているので大きな混乱もなく終了。
そのまま学年会。
「そろそろ通知表とか指導要録の本腰入れないとだね。」
「あ、そういえばこの分担漏れてたね。」
「修了式での児童代表の言葉とか、決めておきましょう。ローテ的には…次は1組でよい?」
「クラス編成も。第一回は〇日までで、一度寝かせて次に〇日に再度確認しましょう。そのあと管理職に見てもらいましょう。」
「申し訳ないんだけど、9日は息子の合格発表の日で、場合によっては銀行の窓口に並んでから高校に連れて行って採寸するとか、いろいろあるので休みをもらいます。あ、13日も卒業式なので休みます。一応自習課題は考えておくので、あとはお願いします。」
「明日の出張はちょっと遠い学校なので、お昼食べずに出ます。5・6時間目は両方ともテストなので、たぶん大丈夫だと思うけど、何かあったらお願いします。」
「あ、来週から3月だけど、学年だよりありがとね。これで管理職に出してOKなら明日の朝印刷して出しちゃいましょう。」
「あぁ、集金額か。今の残金は?支払いしていないのは工作用紙の40円だよね。あとは3月の家庭科の調理実習の概算は出せる?それで足りるなら集金無しでも良いけど、足りないならその分だけ集金しないとね。端数は画用紙買って来年に送りましょう。」
「そろそろ子どもたちが調理実習で作るお菓子のレシピを印刷しちゃおうか。」
「なんか腹減ったね。肉まん食べたい。笑」
なんて話をしているとあっという間に定時なんてものは過ぎ去り、17時半を回っている。
「それでは、お先に失礼します。」
と校長先生が退勤された。自分も帰ろうかなと思ったけれども、今日は残っても平気な日なので、ちょこっと残業することを決意。残している書類仕事に取りかかる。
18時30分頃。
昨晩2日間置いておいた油で揚げた唐揚げを食べてしまったために、お腹の調子を壊し職員用のトイレにこもっている時だった。
心を落ち着かせるためなのか、チラッと見たFacebookに、ウソみたいな投稿を見つける。
「えっ?」
「はいいいいいいい?」
何かもう、お腹の痛さとかどうでも良くなってしまい、速攻でトイレから出る。
トイレから職員室に戻る時に、校舎内の鍵締めの確認をしている教頭先生と会う。
「教頭先生!ニュース見ましたか?」
「え?何の?」
「あの、あの、首相が、安倍首相が。」
「…?」
「月曜日から全国の小中高を休校にするって、そう言ってるニュースが流れてます。」
「…もうエイプリルフールだったっけ?」
教頭先生がそんなギャグ的なものを言うのはお酒の席以外に無かったので、相当な動揺があることは分かる。
教頭先生は鍵締めを放棄してすぐに職員室に戻り、いつもは被さっているテレビのカバーを乱雑に剥ぎ取ると、テレビをつけた。
ちょうどNHKで、先ほどの会見の様子が再度流れていた。
「ちょっと、○○先生!テレビ、見た方がいいですよ!、他の方も!マジでヤバい事になってます。」
ウチの学校は意外とホワイトで、6時半を過ぎると残っている先生は半分以下になっている。大抵は若手。
私が変なテンションで言うもんだから、ほぼ全員がぞろぞろとテレビの前に集まると、安倍首相がくだんの発言をしているシーンが放送された。
「え?」「は?」「えっ?」「何?」
一瞬だったし、全員の発言なんて覚えていないのだけれど、大体が短い言葉を発した後に言葉を失っていた。
そして数瞬後、
「え、じゃあ今考えてた6年生を送る会の出し物の細案、意味ないってことですよね…」「来週の予定考えてたんですけど、来週授業無いって事ですよね…」
「通知表とか、何もできてないです。」
と、口々に不安を言い合うものの、校長は帰っているし、首相が要請した段階で何をしても無駄だと悟り、一気に帰るモードに。
それで、チラッと周りを見渡すも、学年の先生が2人ともいない。
どこ行った?
そして、これは何となく準備しないとダメだと悟る。
奥さんに電話で「ゴメン、こういうわけで、ちょっと準備をしたいので、今日は遅くならせてください。ごめんなさい。」と告げる。快諾してくれるの有り難い。明日息子の受験なんだけど…。すまん。
電話の後2人を探すと、調理室にて発見。
「何してたのー?」
「明日の調理実習の用意をしてました!今終わったところです!」
「お疲れ様。あぁ。彼らにとっては5年生最後の調理実習かー。」
「え、どういうことですか?」
ニュースのことを伝えると、脱力する2人。
「ええええ、どうしましょう。学級を閉じる準備なんてまだ何にもしてないですよ。」
「え、明日一日しか無いって事ですよね…?」
「とにかく、明日持ち帰らせる物の確認をしよう。」
「ごめん、こんなこと言うのもアレなんだけど…。今日ってこの後ちょっと時間平気?あと、明日の出張は行かないから。」
「大丈夫です!」「はい!」
「とりあえず家族に電話して承諾もらってください。私のせいにしていいです。」
職員室に戻ると、ほぼ帰り支度を終えた面々が。それもそのはず、学年主任が残っているのは私だけ。他の学年は主任がいないので動けないのである。
教頭先生も帰る準備を終えている。
「今日の鍵締めは私がやるので、大丈夫です。あとはやりますー!」
そう言ったのが19時20分くらい。
準備だ
「とは言え…何をしたものか。」
「とりあえず休校に備えて、プリントを用意しようか。」
焼け石に水だとは分かっていても、彼らの学力が少しでも上がるなら用意しておきたい。
「今見繕うから、印刷してもらえる?」
見繕うといっても、およそ一か月分。A4サイズにして48枚分を用意した。A3サイズにまとめて両面印刷したとしても、12枚ある。それを学年の人数分だけ印刷するので、大体1000枚になる。両面は一気にできないので都合2000枚分の印刷をこれからしようというのに、一言も文句を言わずに遂行してくれる2人。頼もしい。
自分は自分で、家庭学習に使えるオンライン教材用のIDとパスワードを全児童分印刷。実は勤務している市では、ラインズのeライブラリアドバンスという、学校でも家庭でも取り組めるオンライン問題集を契約しており、度々市教委から活用を促されていたものの、タブレットが40台しかない現状ではコンピュータは別の用途に優先的に使用されており、ほぼ空きがない現状であるため、こちらを使う人がおらず、死蔵してしまっていたのだ。
ところが、今回は家庭学習もできるこの教材を使わない手は無い。
カリキュラム的に当該学年の学習が全部終わっていないとしても、この教材である程度学習することが可能だからである。
管理されていないために1年生の登録がされていなかったので、1年生のアカウントをCSV形式で入力(氏名は適当)し、発行。
全ての学年のIDとパスワードの紙を印刷。A4の紙1枚あたり8人分出てくる。
機械的に40人登録しているので、各クラス5枚。100枚近い印刷が終わった。
次に裁断。各担任にお願いしてもいいところではあったものの、誰にとっても最終日となる翌日はそんな暇は無いだろうと判断。チマチマと裁断する。
次に、校長名、ダメなら情報教育部として、家庭に活用を促す文書を作成、こちらは市教委から出ている見本をスキャンして、校長名だけ入れて終わらせる。(メールでのデータは5ヶ月前の通知のために既に消えていた…。)
こちらは起案して通らないと印刷ができないので起案の鑑をつけて教務主任の机上へ置いておく。
印刷室での裁断中に、印刷中の2人と明日の簡単な打ち合わせをしておく。まずは2クラスとも明日予定されている調理実習は行うことを確認、持ち帰れる物は持ち帰らせるけど、別に来年度もあるのだから無理に色々と持ち帰らせなくてもOKとすることも確認、テストはできれば良いけど、できなくてもいい、今ある成績でどうにかすることを確認、クラス分けの基礎データとなる学力テストは取りやめて、指定単元の合算の得点で代えることを確認。あとは今考えても仕方ないから管理職からの指示があってから考えることにしようという確認を取り、全てが終わったのが21時30分。
「ほんとならこの後ご飯とか行くんだろうけどね。さすがに遅いので解散にしましょ。また明日。今日は本当に助かった。ありがとうー。」
いつもなら、ここで愚痴のブログでも書くところなんでしょうけれども、あいにく知り合いが増えて、その中には一生懸命に業務に邁進している教育委員会の指導主事の方なんかもいて、その方達が「報道で知った。」と慌てふためく様子でメッセージに返信してくださるあたり、「勤務している市でも、今頃市教委の先生方が一生懸命に検討をしているに違いない。その方達の判断を尊重しよう。自分は自分でできることをする。」という、ある種の開き直りというか悟りというかをもってしまっているので、愚痴のブログをその日に更新することはやめました。神にも止められているし。
息子に「明日がんばれよ。」とだけ伝えて、お互い翌日に備える。
さて。あと一日で何ができるか。
28日
夢であれと願いながらも、朝刊の一面を見てその希望は打ち砕かれる。
朝学校に行くも、まだ方針は決まっていないとのこと。これは来週も登校いけるか?
子どもたちに「ニュースで見た!今日で終わりなんですか?」と聞かれても、
「いや、あれば要請だからね。まだうちの学校がどうなるかは決まっていないよ。」
と含みのある返事をしつつ、審判の時を待つ。
朝の活動は縦割り班の最終回。6年生に感謝の気持ちを伝えるために、それぞれが賞状やペンダントを作り、贈る。縦割り活動の終了時間にオルゴール曲を放送してお知らせするのが、うちの学校のいつもの流れ。今日だけは曲を変えた。「愛を込めて花束を。」門出式だって無くなるかも知れない。せめて自分のできることを。
授業では、総合の振り返りをして、eライブラリの使い方をやる。子どもたちにとっても分かりやすいUIのようで、何ら質問が出ること無く自習みたいな感じになったので、この後のことを考える。
そして2時間目終わりの休み時間。子どもたちはいつも通りクラスレクをしに校庭へ。私は臨時の職員会議のために職員室へ。昨日起案した文書が通って机上に返ってきていた。校長名でOKとのこと。そこでやはり本日が最後になることが告げられる。マジかー。「何か質問などありますか?」というタイミングで挙手、オンライン教材のIDとパスワードを印刷して机上に置いたこと、家庭向けのプリントも作ったこと、子どもたちが家で取り組むことができるので、無理に色々とこれから用意しなくても大丈夫なことを伝えました。(うちの学年はちょっとだけ無理して用意したけれども。)
とある先生が「こんなのアリかよ…俺、今年で異動だと思うんだよね…。めちゃくちゃかわいい子達だったのに、今日でいきなりおしまいとか…」となげいておりました。
次、音楽の出授業で空きになっている間に、児童数配布のお手紙印刷を手伝い、漢字プリントも4枚を学年分印刷。この児童数配布のお手紙が、大変だった。知事メッセージいります?せめて小学生に向けてもメッセージ出すなら、ふりがなふりませんか。(下のサイトでPDFが公開されています)
まぁいいです。10分くらいで終わる作業なので。
4時間目は算数。これで算数も全カリキュラムおしまい。ただ、終わったのは理科と算数だけ。大造じいさんとガン、段落分けしただけで終わってしまった…。
給食は子どもたちが好きな子と食べたいと言ったので、OKを出しました。
ちょっとしたトラブルで泣きそうな子がいたので、
「先生は泣いている子を放っておけない!一緒に食べよ?」って言ったら、涙がひっこんだ顔で「大丈夫です。」って断られるわ、「先生…ちょっと無いわ…」みたいな周りの目。
「いや、おかしいでしょ!?なんで真面目なセリフ言うとその対応なわけ??」
と言うと、哀れみの目は更に数を増す。
掃除は「最後だ!カンペキにやろう!」と。
5時間目は宿題を渡す。
子ども達に「休みじゃなかったら、家庭科でパンケーキ作ったのにねぇ…」とか「休みじゃなかったら6年生とバスケ対決できたのにねぇ…」と悲しみを伝えるつぶやきをしつつ、「休みじゃなかったら…こんなに宿題出さなくて済んだんだけどねぇ…」とどっさりプリント。
「げぇ…」って顔を見ながら、「こんなやりとりも最後かぁ」なんて思ってちょっとさみしくなってしまう。
そして最後は体育!他のクラスとバスケ対決。
最後の最後まで、普通の授業。
何一つとして気持ちは伝えられなかったんだけど、まぁ、とりあえず終わって良かった。
帰りの会。
「ほんとは最後の話ってさ、めちゃくちゃ考えて、練習なんかしちゃったりして、伝えるもんなんだけど、それすらできずに、本当に普通の話になっちゃうんだけど。一年間お疲れ様でした。本当はもうちょっと一緒に過ごしたかったけれども、まぁ仕方ない。でも、君たちの朝の縦割り班の最終回での様子を見ていて思ったのは、君たちは十分6年生として通用するということ。来年は学校の機関車としての役目を存分に果たしてくださいね。とにかく、お疲れ様。」
図工の作品を持ち帰るための作品バッグを買っていたので、それを配布して荷物の持ち帰りに使わせる。
大量の荷物を持って帰る子。
「ちくしょう-!安倍首相めぇええ!」
って言いながら帰って言ったので、一応、フォローのコメント。
「ほら。安倍さんだって、謝ってるじゃん?
ア イ ム ソ ー リ ー 。」
よし。最後に、二 人 笑 わ せ た 。
(これが言いたかっただけ)
結局振り回されたりして大変は大変なんだけど、決まったことに文句言ってもどうしようもないので、自分の役割を全うします。一人一台が配備されていない私の市では、これが精一杯だったとは思いますが、一人一台配備の市ではオンラインで課題を出して、みんなでワイワイいいながらクリアして遊んでいるそう。
急に空いた1ヶ月。まぁ残業時間にやることが昼間にできるようになっただけなので、楽とか思っていません。受け入れのための児童対応がありますしね。
これでコロナが収まってくれれば、それに越したことはありません。
皆さんも、手洗いしましょ!
それでは、また次回。
安倍総理「あらゆる手を尽くす」
— すずすけ@Type_T (@szsk_edu) 2020年2月29日
奥さん「あらゆる手を洗え、だろ」