ローマ字の表記を小学校で統一すべきかどうかについて、盛り上がっておりましたが、そもそもローマ字の指導がどうなっているのかご存じでしょうか。
かなりの無理ゲーです。
ローマ字の前に、アルファベットが書けない3年生
ローマ字ってどうやって表記するかご存じですよね。使う文字はといいますと、なんとアルファベットというものを使うんです。
このアルファベットというものなんですけれども、小学3年生、8歳か9歳におきましては、未知の文字なのでございます。
と言うわけでですね、ローマ字の指導を行う前に、アルファベットの指導からしないとならない訳なのですが…。
配当時間が鬼すぎる
ここで、ローマ字の指導に充てることが出来る時間数を見てみましょう。
まずは国語と言えばここ。光村図書です。
光村図書の指導計画小学3年から引用してきましょう。
4時間…だと…?
1時間目 ローマ字に関心をもつ ローマ字表記について知る
2時間目 つまる音や「ん」、「ば」「ぱ」の表記を確認する
3時間目 習熟しつつ 訓令式とヘボン式の2種類あることを確認する
4時間目 自分の名前や教室にあるものをローマ字で書いてみる
え。
アルファベットを教える時間は無いんだ…ね。
更に鬼なのが東京書籍
はい。算数で有名な東京書籍です。
配当が3時間…だ…と…?
無理ですよ?
そもそも無理
という訳でですね、そもそも、ローマ字をこの時間数で教えること自体に無理があるのです。3時間って言っても、45分×3です。実質は135分。2時間と15分な訳です。その時間で、アルファベットを教えるだけでも無理なんですよ。3年生に。どう考えてもbとdが混同したり、aを見たまま書こうとしてdになってみたりする訳です。それを最大で40人分見る。1人に1分かけたら、それで40分かかり、残り5分になる訳です。休み時間を使ってちまちまと直しながら、やっとアルファベットを覚えたと思ったら、今度は組み合わせて音を表す訳です。しかも同じ音なのに2種類あるんです。どっちでもいい、と言われると、3年生は混乱します。どっちかに決めてもらった方が、まだ8歳9歳は楽なんですよね。
教えるのは訓令式の方が楽
ta ti tu te toの方が、ta chi tsu te toより楽です。tは「た行」で、a i u e oは音を延ばしたときにその音になるもの(母音)、その組み合わせで表記できるよと教えることができる訓令式は、規則さえ分かってしまえば楽に習得できるでしょう。
ところが、ヘボン式はそうはいきません。( )に書いてあるのを見て、「そのような書き方もあるよ」くらいでとどめておかないと、無理でしょう。
意欲を重視して、自分の名前くらいはヘボン式で書けるようになりたい
「実はこのローマ字の書き方だと、外国の方が正しく読んでくれない可能性がある」という前置きをして、ヘボン式を導入すれば、意外とすんなり取り組むような気がします。自分の名前とか、身近なものとか地名とかで良いと思うんですけどね。そして、ヘボン式は深く踏み入り過ぎないで良いと思います。こんなのもあるよ、程度でとどめておけばいいのではないでしょうかね。
まとめ
ローマ字教えながら、小数点以下の0を消すかどうかの指導を行いつつ、運動会の指導もしているのが9月の3年生担任です。
いろいろな思惑はあると思うんですけれども、何でもかんでも盛り込み過ぎると、子どもたちには全く理解されません。
はじめはすっきり削った最小限のことを教え、後から肉付けしていってもいいと思うんですよね。プログラミングだって最初はHello world!からです。
段階を踏まずに、いきなり全マシで教えることには反対でございます。
ただ、何故かパソコンでYoutube見たりしている子たちは、ローマ字を習得している人が多いんですよね…。やっぱり、必要だと思ったときの子どもたちの学びは速いですよ。そういう風なことが意図的に起こせるよう、指導計画を考えていく必要があるでしょう。
以上、通知表が終わるまで更新しないと言っていたのに更新してしまったけれども、参考になれば幸いです。