前回の続きです。
記事の補足や反応など
今回の記事はTwitterで多く意見を頂戴しました。ありがとうございます。
時系列的に実践事例集は議論のとりまとめの前に出されているものなのは、確かにそうなのです。失礼しました。
「プログラミング教育実践ガイド」は平成26年度事業で、まだ学習指導要領はおろか、中教審の議論、有識者会議の前ということを考慮する必要があるかもしれません。その後、別の事例集を作るという話があり、全国の学校から収集したのですが、なぜか公開されず今に至っています(ゲラ校まで見ました)。 https://t.co/fkHdwMfFf6
— アベ先生 (CV: 阿部和広) (@abee2) 2017年11月26日
教員も含めてほとんど全員素人で行うプログラミング教育は、試行錯誤のプロセスでクラスの中で誰がサポート役になれるか、が結構重要なんだけど、事例集やガイドブックは学年しか書いてないよね。すでに「必要な知識を与えて手習いさせる」教示主義のドグマにはまってるわけですよ。
— 豊福晋平(GLOCOM) (@stoyofuku) 2017年11月26日
構成主義・構築主義の立場ならば、プログラミングの課題でどんな内容を与えるか以上に、子どもがどんな背景を持っているか、何を前提知識スキルとして持っているか、知ることが重要なのです。各地域や学級でも子どもの凸凹は全然違う。それを丁寧にやってる事例は見たことがない。
— 豊福晋平(GLOCOM) (@stoyofuku) 2017年11月26日
素人の教員も全員やるプログラミング教育
ここに一番の問題というか、課題が存在します。
文科省はコーディングを覚えることが目的なのではないと言いますが、Scratchだろうが、VISCUITだろうが、やっていることはコーディングであり、むしろテキスト主体じゃないためにそれぞれの言語のクセがかなりあるわけですね。
また、ロボットや小型の機器を用いたプログラミング教育教材についても、Raspberry Piだけで無く、Pepperの活用が見られたり、アーテックの教材の活用が見られたり、LEGO、KOOV、MESHといたメンツもありますし、mBot、embotという、君たち兄弟なの?と思うようなネーミングの教材もあります。(全く別物です)
これらを動かすためのプログラミング用のソフトウェアも、また多種多様(でもScratchと同じような操作感が多い)でして、全部を追えるはずがないんですよ。
でも、これらの教材のうち、どのような場面でどのような機器を活用するとより効果が高いのか、比較検討するためにはある程度の知識と経験を必要としますよね。当然のように。
例えば、Webサイトを立ち上げるにあたっては、はてなブログで綴ればいいのか、SSL対応をする必要性からWordPressにすべきなのか、教育現場でよく活用されるという理由からNetCommonsを選ぶのか、それともCMSに頼らずに1からHTMLを記述するのか、などなど、様々な方法があり、目的によって使い分ける訳です。
一つしか方法を知らない場合は選択の余地がないですけどね。
だからこっちも選択肢を増やさないといけない。
試す場がない。予算もない。
まず時間的な制約です。最近騒がれておりますので、教員の時間のなさについては今更書く必要が無いと思いますが、プログラミング教育における教材選定をする時間がありません。現場の詳しい先生が選んだものを活用するという方法が採られるでしょうが、議論は深まりませんし思考停止に陥ります。うまくいかなかったときの反省をするにも、何故ダメだったのか分からない、知りようがない、代替案も出せないというレベルになってしまいそうで怖いです。マニュアル通りにやったのに失敗したとか言われそう。
次に予算的な制約です。ロボット買う予算がどこにあるのかという問題です。例えば、Raspberry Piだったら安価だし買えるだろうという考えで、導入を検討しますよね、この価格だと、消耗品の予算からの導入になることが予想できます。
と言うことは、画用紙とかコピー用紙とか、チョークとかの予算を削って買うことになります。多分無理です。
学校における予算配分は大枠が与えられてそこから各校で配分していくスタイルが一般的なので、どこかを重視すればどこかは我慢です。そこに、Raspberry Piを投入できるように校内でのコンセンサスを得るのは結構大変ですし、それをするならもういいや、というのが予想できます。
そもそも、教材研究のために各種ロボットを体験しようと思ったら買うしかない。例えば、Pepperを教材研究のために買うのは、公的予算では無理だと思います…。私財を持ち出して買う代物なのでしょうか。その点、アーテックさんはお試しのために貸し出ししてくれるのでありがたいです。
と言うわけで、選択肢が数多くあり、それぞれの特徴を理解してようやく教材として活用できるレベルになるのに、お試しすらできない現状。
そもそも校内にWi-Fiすらないのに何をすれば良いのか。
文科省は事例を挙げることはないのに、2020年からは本格的に始めろと言う。
プログラミング教育を始めるにあたって、プログラミング的思考という造語を作り、ただ触れるだけではダメですよ、そこに学びがないと、という制約を課す。
そして、2020年からの新学習指導要領、英語の教科化、道徳の特別の教科化も同時にあります。
無理じゃないですか…?
学校研究だって、英語と道徳が圧倒的になると思います。今までの延長なので、やることが明確です。学校研究として取り組むことで全校がしっかりと準備を整えられます。ゴールも明確になっているので取り組みやすい。
プログラミング教育を学校研究でやるとなると、樹海に徳川埋蔵金を探しに行くくらいの難易度になると思いますよ、このままだと。
そして、一番の問題。
それって、子どもたちにとって、楽しいんでしょうかね…。
Why!? プログラミングを見て、「ジェイソンをプログラミング」でジェイソンが水をこぼしてゲラゲラ笑っている方が良いですわ。
「笑えるよねー。でもどうやったら水をこぼさないでいられる?」
「1歩ってどのくらいか、ちゃんと教えてあげたらいいんじゃない?」
ってアンプラグドでも話し合いができたら、十分なんじゃないですかねぇ…。
と言うわけで、とりあえず今年はクラブでRaspberry Piに取り組んでます。できるところからやって、フィードバックしていきます。
負けねぇぞ…!楽しい×プログラミング教育 実現を目指しますー!