変形労働時間制を導入することが検討されているとの報道
毎日新聞によって、教員に変形労働時間制を導入するかもしれないという報道がされています。忙しい時期は10時間労働として、暇な時期は6時間とする(だろう)ことで、年間としての労働時間は基準内に収めるということを狙っているようです。
今まで:忙しい時期があるにも関わらず、勤務時間が一定!
これから:忙しい時期は勤務時間が10時間になるから残業が減る!
ないわー。
起き得る影響
10時間ということは、子どもが登校してくる時間は勤務時間外ということを全く勘案していないので、どうせ後ろに2時間足すと思うんですが、例えば5時まで勤務が7時まで勤務になったりする訳ですか。
そもそも夏休みだろうが残業してるわ!何が閑散期だ!という話は内田先生がしておりますので、そちらに譲ります。ただ、このグラフに注意なところは、勤務日1日あたりの考察はしていない点です。8月はお休みをいただくこともありますから、月の累積で考えると8月は少なくなりますが、勤務日1日あたりで考えると、また違った見方ができるかなと思います。(それでも8月は少ないのは事実だとは思います)
保育園に預けている教員が詰む
まず、これです。夜の7時まで開いている保育園ってすごく少ないですよ。
7時に勤務終了でそれからお迎えなのでもっと遅くまで開いていないとダメですよね。
私の息子たちを預けていた保育園は7時まで開いていましたが、6時半くらいにお迎えに行くと、大抵もうラスト数人になっていて、「ほんとごめんねぇええ」と思いながらお迎えをしたもんです。
教員って、同業種で結婚する人が結構多いので、そうなると保育園に預けられずに詰む人が山ほどでると思います。
大抵同業種で子育てしている方たちは、曜日で分担したりして、(無いことになっている)残業をする日とお迎えに行く日と分けて何とかやりくりしているのが現状です。
それが、7時までみんなが勤務時間になると、どうやってお迎えに行ったらいいのでしょうかね…。
頑張って定時退勤をしている教員が強制的に残業させられる
これも出てきます。17時退勤を工夫して行っている教員はいます。
生産性を上げて、業務改善をして、なんとか17時退勤。
その人たちの苦労を真っ向から否定する方向です。
中学では「19時まで勤務時間なんだから部活もやるよね?」と言われて、19時まで部活をやりそうな気配も。(そしてそこから丸付けが始まる)
文科省は報道を否定
そりゃ否定しますよね。
【8/30 中教審傍聴の感想をまとめました】
— 斉藤ひでみ/現職教員 (@kimamanigo0815) September 1, 2018
8月30日の審議で見聞きしたこと、その他僕が知っていること…
●給特法についてどのような審議が行われたか
●「公立学校に変形労働時間制を導入」のニュースの真偽
●毎日新聞記者、伊澤拓也さんについて
●これから何をすべきか
について書きました。 pic.twitter.com/WNi5ceU027
このツイートを拝見するに、中教審で特給法について話し合いがあるだろう日の朝にスクープ記事として出されたようです。記者の方が釘を打つ形での報道。伊澤記者には感謝しかない。これには文科省も何も決まっていないというしかありません。
ツッコミどころはまだある
ニュースに戻ります。
4%の調整額は意地でも残す
文科省は教育委員会や学校が労働時間を柔軟に設定できるよう、給特法の改正を目指す。基本給の4%を「教職調整額」として支払う代わりに残業代を原則支払わないとする規定は残す見通し。
いや、そこだよ。まずは。残業代を払うようにすれば、文科省も業務を改善せざるを得なくなる。
4%って、1万円ちょっとですよ。私たちが17時以降も働いているのは残業として認められていないし、残業代は出せないけど1万円ちょっとは出すからよろしくね、で今までやってきてしまった(スト権なども取り上げられているし)のは、確かにこちらサイドもダメだったと思う。
でも、声を上げる媒体が増えた以上、上げていかないとかなと思いました。
閉庁日は年休取ってねの日じゃない
教職員は夏休みも部活動指導や研修などの業務があるため、文科省は学校閉庁日を増やして有給休暇を取得しやすい環境を整備する。
いや、学校の閉庁日は年休をとってね、という日じゃなくて、そもそも休みなんじゃ?
え、文科省の言っていることって普通ですか?
「ここに学校閉庁日をセット!おまいらの年休を強制的に召喚する!ターンエンドだ!」
いやいや。年休を取る権利はこちら側に置かせてくださいよ。
まとめ
働き方改革じゃない。働かせ方改革をしている。これでは、教員のなり手が減るぞ…。
新潟県の教員採用試験小学校1次の結果。びっくりするわ。番号がほとんど飛んでいない。倍率が低くなるとどうなるかは言わんでも分かるわな。これは完全に危機ですよ、日本の教育の。 pic.twitter.com/2JtF7rh3uv
— 本音で生きる! (@GzBtp) August 7, 2018
魅力の再発信をしたいと頑張ろうとする先生方がたくさん出てきてきた流れをぶっ潰す文科省の動きには閉口です。
9月2日 午後0時35分追記: 毎日新聞の伊澤記者のことを、伊藤記者と書いておりました。お詫びし、訂正致します。