
はじめに
2025年12月9日。あの日、わが家の「デジタル酸素」である光回線が突然停止しました。 固定回線は、今や娯楽ではなく、仕事と生活を支える基盤です。それから、実に42日間。教育者として、またNPOの代表として、ICTを止めるわけにはいかない戦いが始まりました。
本日、2026年1月23日。ようやくこの問題が「一段落」したことをご報告します。 今回のトラブルを通じて得られたのは、単なる復旧の喜びではありませんでした。それは、「モバイル回線を束ねて600GBを捌き切る」という技術的な自信と、「大手通信キャリアのサポート体制」という冷徹な現実への深い理解です。
この記事では、前回の記事(NURO光、死す。)の続報として、その後のタイムラインと、不通期間を支えた通信量の全記録、そして事業者との最終交渉の結果をありのままに報告します。

1. 通信量の戦績:42日間で「609 GB」という重み
まず、この不通期間中にわが家がどれだけの通信をバックアップ回線で凌いだのか、その全記録を公開します。
不通期間中、私はTP-LinkのマルチWANルーター「ER605」を導入し、楽天モバイル(Rakuten最強プラン)とBIGLOBE WiMAXの2回線を束ねて運用しました。(Povoは途中から課金が多すぎると判断し、私が持ち歩いているWiMAXを固定化運用)
通信量集計結果(2025/12/9 ~ 2026/1/20)
集計した結果、驚くべき数字が浮かび上がりました。
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楽天モバイル(Rakuten最強プラン)
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合計:310.60 GB
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最大利用日:
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12/10:32.97 GB
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12/13:28.48 GB
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BIGLOBE WiMAX
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合計:298.37 GB
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最大利用日:
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1/6:18.07 GB
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1/18:19.38 GB
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総通信量:608.97 GB(約609 GB)
1日平均:14.16 GB -
42日間という長期にわたり、毎日平均14GB以上の通信が発生していました。 もし、このバックアップ構成がなければ、ウェビナーへの登壇、NPOの運営、ピースAIの開発などはすべてストップしていたでしょう。
特に、楽天モバイルは12月中旬に1日30GBを超える負荷がかかっても耐え抜き、WiMAXも安定して1日10〜20GBを捌き続けました。 「使い放題」に近いモバイル回線が2本あったからこそ、固定回線なしでも戦い続けることができたのです。
数日だから良いだろうと思っていたPovoで戦うのはちょっと無理でした。復旧までの日々を舐めていた。
バックアップとしてER605を持っておくのはいい選択肢かも知れません。
ただ、10GbEには対応していないので、常用ルーターとして使うには帯域面でボトルネックになります。
2. 解決までの長いタイムライン:なぜ1月中旬までかかったのか
12月9日にONUの「ALARM」ランプが点灯してから、復旧までの道のりは困難を極めました。
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12月9日:不通発生。 チャットが利用不可のためメールフォームから依頼。
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12月12日:遠隔措置失敗。 「現地調査が必要」と連絡があるも、その後放置。
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12月16日:再度チャットで依頼。 再び「現地調査が必要」と言われ放置。
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12月21日・25日:問い合わせを継続。 「訪問準備中」の一点張り。
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1月4日:ようやく電話が入る。 翌日の訪問が決定。
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1月5日:一次調査実施。 「宅内ではなく屋外設備での断線」と判明。別途工事が必要となる。
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1月5日~19日:魔の日程調整。 5日の午後に工事日程調整を行いましたが、事業者側から「NTT設備側の輻輳(ふくそう)」を理由に、提示した希望日が次々と却下されました。最短でも1月15日以降になると宣告されたのです。
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1月20日:最終工事。 ようやく光が戻る。
この間、一貫して感じたのは「サポート窓口間の情報共有の欠如」と「復旧リソースの圧倒的な不足」でした。 原因が屋外設備にあると判明してもなお、「輻輳」を理由に2週間近く待たされる状況は、生活インフラを提供する企業の姿勢として極めて疑問が残るものでした。
というか、輻輳と言う言葉を一般顧客に使わないでほしい。
Nuro光、あまりにも対応が杜撰すぎるので、総務省の情報受付フォームから連絡を入れる。
— すずせん@プログラミング教育とGIGAを広めたい (@szsk_edu) 2026年1月6日
Nuro「8日以降にしてくれる?」→あいよ、8日、9日、10日で
Nuro「あ、ごめん取れなかった。13日以降にしてくれる?」
最初の話は・・・?
国語の時間でも書かないくらいの長文w#Nuro光 pic.twitter.com/REpMf2NxKK
総務省の情報受付フォームから送った文章は以下の通り。コピペしやすいようにしておきますね。
【発生している事象】
インターネット接続サービスが長期間にわたり完全に利用できない状態が継続している。【発生時期および詳細な経緯】
2025年12月9日、インターネットが完全に不通となった。
同日、NURO光のチャットサポートが利用できない状態であったため、メールフォームから障害対応の依頼を行った。2025年12月10日深夜、事業者よりメールにて返信があった。
2025年12月12日、遠隔操作による復旧措置が実施されたが失敗し、「現地調査が必要」との連絡をメールで受けた。
しかし、その後、具体的な訪問日程の案内等はなく、対応は進展しなかった。2025年12月16日、チャットサポートを通じて再度対応を依頼した。
この際も遠隔操作による措置が試みられたが復旧せず、再度「現地調査が必要」と案内されたものの、その後の連絡はなかった。2025年12月21日、再度チャットサポートから問い合わせを行ったが、「訪問準備中」との回答のみで、具体的な日程や進捗の説明はなかった。
2025年12月25日、電話にて問い合わせを行ったが、この際も「訪問準備中」との説明にとどまり、具体的な対応時期は示されなかった。
その後、2026年1月4日になって初めて事業者から電話連絡があり、翌1月5日に訪問調査を実施するとの連絡を受けた。
2026年1月5日、訪問調査が実施されたが、宅内設備ではなく屋外側設備での断線の可能性が高く、別途工事が必要であるとの説明を受けた。その場で6日と7日の希望日を伝えた。
2026年1月5日午後、工事日程調整が行われ、「NTT設備側の輻輳」を理由に1月8日以降の日程を提示された。これを受け、8日、9日、10日の日程を回答したが、その後の返信にて、いずれの希望日も対応不可とされた。
その後も調整が続き、最短で対応可能な日程は「1月15日午前以降」と案内された。さらに2026年1月6日、改めて日程調整の要請があり、1月17日から20日にかけて複数の対応可能日を提示した。
この結果、2025年12月9日から少なくとも2026年1月中旬以降まで、1か月を超えてインターネット接続サービスが完全に利用できない状態が継続することが確定している。
【事業者対応に関する状況】 問い合わせに対する返信はあるものの、「現地調査が必要」と判断されてから実際の調査まで24日間もの空白期間があり、この間、積極的な日程調整や進捗報告が行われませんでした。 また、「他社設備の輻輳」を理由にさらなる遅延が発生していますが、事業者間の調整不足による不利益がすべて利用者に転嫁されています。 不通期間中、代替回線の提供等の応急措置の案内は一切受けておらず、規則第16条の3に規定されている「電気通信役務の提供に重大な支障を及ぼさないための措置」が組織的に講じられていないと判断せざるを得ません。
【利用者としての支障】
インターネットが完全に利用できない状態が長期間続き、業務、情報収集、日常生活全般に重大な支障が生じている。
やむを得ず、利用者自身でモバイル回線等を用意し、最低限の通信環境を確保している状況である。【規約・法令との関係について】
NURO光の利用規約 第40条では、「当社の設置した電気通信設備を事業用電気通信設備規則に適合するように維持する」と定められていると認識している。また、事業用電気通信設備規則 第十六条の三では、故障等が発生した場合に、電気通信役務の提供に重大な支障を及ぼさないよう、応急復旧工事、臨時回線の設置等の措置を行うことが求められていると理解している。
今回のように、1か月を超えて通信が完全に不通となり、代替措置の提示もない状況が、これらの趣旨に照らして適切であるのかについて疑問を感じている。
【要望】
本件について、同様の事例の有無も含め、電気通信サービス利用者保護の観点から調査・分析の対象としていただきたい。
なお、通常返答はないということで、こちらに関しても返答はありません。

3. サポートとの最終交渉:冷徹な「規約」の壁
復旧後の清算についてサポート窓口と最終的な折衝を行いました。 その結果は、以下のようなものでした。
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不通期間の月額料金について: 不通の期間が1か月を超え、原因が事業者側設備(宅外)にあることが確認されたため、不通期間中の月額料金は「減額(返金)」の対象となりました。
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解約に伴う違約金・工事費残債について: ここが最大の問題です。NURO側の回答は、「不通の原因が弊社側にあっても、解約にかかる違約金や工事費残債の免除は一切行わない」というものでした。
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代替回線費用の補填について: 私が自前で用意し、600GBを支えたモバイル回線の追加費用についても、「補填の対象外」という回答でした。
つまり、事業者が通信を1か月以上止めたとしても、彼らが責任を取るのは「その期間の月額基本料金」のみ。 利用者が代替手段に投じたコストや、耐えかねて解約する際の「違約金」は、すべて利用者の負担になるという、利用者側に大きな負担が残る構造であることが明確になりました。
とは言え、利用規約ではそのようになっているので、そこを納得するか、それとも消費者センターに行くかは各自判断で。私は後述の理由から争うことを諦めています。
おわりに:次なる一歩
今回のトラブルを経て、私はNURO光を解約し、新たにBIGLOBE光を敷設することに決めました。 NUROの復旧工事と同日に、別回線の工事も完了させています。
1か月止まった回線を使い続けるリスクよりも、信頼できるインフラへ乗り換える。これが私の結論です。
Nuroがようやく復旧した。だが本日で解約します。 pic.twitter.com/MMKL0pEDTl
— すずせん@プログラミング教育とGIGAを広めたい (@szsk_edu) 2026年1月20日
この復旧の工事も、最初無駄な工事だから断ろうと思ってサポートに連絡したら、「故障箇所の確定をしないと返金ができない」ということで、解約するのに復旧工事をすることになりました。その枠を他の人に譲った方が良いかなと思ったのですが、最後の決め手は「前日に工事の確認連絡が行くから、その時に断ってください」という謎フロー。いや、そっちでキャンセルかけられないの…?そしたらただ枠が前日にぽっかり空くだけで他の人に回ることはないだろうなと思ったので工事することにしました。
BIGLOBEは、最初1月21日がネットで取れる最短だったのですが、電話したら1日前にしてくれた。ありがたい。
と言う訳で、BIGLOBEの敷設工事と、Nuroの復旧工事が同日に組まれ、無事に同時に工事の方がやって来ました。クレーン付きの車が3台うちの前に鎮座。大がかりすぎます。
こんにちは、BIGLOBE pic.twitter.com/ytdVK2I5hf
— すずせん@プログラミング教育とGIGAを広めたい (@szsk_edu) 2026年1月20日
ちょっとBIGLOBEの方が速度としては遅いんですけど(そして夜間の落ち込みもあるから安定していたNuroとは違うのですが)、故障対応であれほどまでに苦労させられちゃうと、とりあえずPINGの値が良くて、1Gbps出てれば良いでしょうと思ってしまいました。
ちなみに、故障の原因は家から少し離れたところにある、光ファイバーが集約されているボックスのコネクタ不良。いやーそれだけでこの42日間戦ったんだなぁ…。感慨深いですよ。
そして、BIGLOBEさんにした理由は「解約費用負担」があったから。先ほど戦わなかった理由は、解約費用がかかってもBIGLOBEさんが払ってくれるからなんですね。本当にありがたい。
そして、WiMAXと楽天モバイルさんには申し訳ないですが、YouTubeを見ている最中にローディングで固まるのを家族にいろいろ言われたこの一ヶ月間は、かなりストレスでした。
不通期間中には、Xでたくさんの励ましの声と、自分も同じ!の声をいただきました。また、データ整理や交渉文の作成にあたっては、生成AIも活用しました。
通信インフラに「絶対」はありません。 皆さんも、ぜひ一度、わが家のバックアップ体制を見直してみてください。
「備えあれば、通信あり」。 この42日間の記録が、誰かの助けになることを願っています。