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文科相「小中学校でも抗原検査できるようにする」私「いや、無理では!?」

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この記事は、新型コロナウイルス感染症に関係する内容が含まれております。2021年8月25日現在の情報ですので、閲覧の際にはご注意ください。

また、出典を掲載するように心がけましたが、ご自身でも情報の確かさについて今一度ご確認いただきながら閲覧くださいますよう、お願いいたします。

文科省からの通知

8月20日の通知では、高校生の抗原検査についての言及がありました。

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通知の別添資料

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どの場面で使うか
  • 登校(出勤)後に初期症状が見られる場合に使うこと
  • 早期発見してクラスター拡大を防ぐために使うこと
  • 陰性だからといってセーフではなく、自宅待機させること

などが書かれています。

高校生かー。」と思っていたのですが、その後のニュースで一歩踏み込んだ発言が出ました。

www.jiji.com

マジですか。

抗原検査とは

そもそも、新型コロナウイルスに罹患している(していた)か調べる方法はいくつかあります。

厚生労働省健康局結核感染症課による、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4版」から引用します。

COVID-19における検査については、現在、核酸検出検査(リアルタイムRT-PCR等)、抗原検査(定性、定量)が実施されている。

核酸検出検査は、(医療従事者では無い)私たちがPCR検査と呼んでいるものに該当します。

また、抗原検査は定性と定量という2種類の検査があります。

  • PCR検査
  • 抗原検査(定性)
  • 抗原検査(定量)

また、似たような語感の検査として、抗体検査がありますが、資料によると、

抗体検査はウイルスを検出する検査ではなく、ウイルスに対する抗体の有無を調べる検査である。

となっており、厚労省のサイトには、以下のように書かれています。

現在、イムノクロマト法と呼ばれる迅速簡易検出法をはじめとして、国内で様々な抗体検査キットが研究用試薬として市場に流通していますが、期待されるような精度が発揮できない検査法による検査が行われている可能性もあり、注意が必要です。

もう一度厚生労働省の資料によるまとめを見てみましょう。

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厚労省の資料より

 そのうち、学校に配付されるのは最初の画像での引用でお示ししているとおり、抗原検査(定性)の鼻腔検査が行えるものです。

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注がいっぱい

何故鼻腔かと言えば、鼻咽頭はよくインフルエンザの検査するときに鼻の思いっきり奥まで長い綿棒つっこんで「オウェッ」ってなるやつです。これは医療従事者が採取することになります。学校には医療従事者はいませんので、自己採取ができる鼻腔ぬぐい液での検査になります。

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自己採取が可能なのが鼻腔(まとめの表と同じ資料から)

段々見えてきましたね。会見後の質疑応答(萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年8月20日))で大臣がこう言っています。

既に高校までお配りした検査キットをですね、小中学校にも配備をして、例えば、当日、保健室で熱があるお子さんに関しては、直ちに抗体検査を行うような、そういう環境もバックアップをしていきたいと思っておりまして。意識を高めてですね、慎重な対応をしていきたいと思っています。

大臣。抗体じゃ無くて抗原っす。

そもそも高校ではどうなっているの?

小中に行く前に、高校ではどうなっているのか見てみましょう。

日本医師会の通知では、以下のように記載されています。

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通知より引用
  • ガイドラインの内容を理解すること
  • 理解度確認テストに全問正解すること(答えが次のページにすぐあるのはちょっと…別ファイルにならなかったのかなぁと思いました)
  • 検査実施のための体制づくりを行うこと 

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本臨床耳鼻咽喉科医会は懸念の声

この方針に対して懸念を示している学会もあります。一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会のサイトでは、学校医に対して確認して欲しいことがあるという通知を出していますが、その中に懸念事項も記載しています。

このガイドラインでは、生徒が登校後発熱するなどの症状が出現した場合、学校医を含む医師不在の際には、養護教諭などの検査実施管理者のもと、抗原定性検査を生徒自身が積極的に行うように示されています。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本臨床耳鼻咽喉科医会学校保健委員会は、日本医師会に対して、抗原定性検査キットが学生や教職員の間で行われることに関して以下のような問題点を指摘し、改善や対応を求めました。

1 結局医療機関を受診することになるのになぜ抗原検査を学校でするのか。医療機関を受診しない可能性があると考えて学校で検査をするのか。

2 学生が検体採取と採取後の操作を、ほぼ即興に近い状態で十分な感染予防対策を講じてできるのか。

3 検査をすることが感染を拡大することにならないのか。特に現在のデルタ株は感染性が強い。

4 検査後の検体、検査プレート、手袋等の処理を正確にできるのか。

5 理解度確認テストの内容には感染予防を考えた器具の扱い等の問題がないが、それでよいのか。

6 検体採取方法は適切か。図に示される鼻腔上方に綿棒を挿入する方法でよいのか。

高校においても実施はかなり慎重に行うべきように思います。

小学生でできるのか問題

そして小学校です。

全保健の先生が悲鳴を上げていると思います。
1年生に、この検査方法での検体採取は無理でしょう。ということは、陽性かも知れないお子さんに対して、保健の先生が採取するシーンが少なからず出ることが予想されます。

(書いている途中で4年生以上という指針が出たようですが、4年生でも無理に思います…)

www3.nhk.or.jp

学校のコロナ対応最前線の保健の先生を危険な状況にさらすことになります。

そもそも、発熱してたら学校来ないというルールが徹底されていれば、リスクは最小限になっているはずなのですし、朝イチで全員の検温チェック表を確認しているのです。

そして、発熱したら問答無用で帰す。陽性だろうが何だろうがフローは変わりません。

かえって陰性の問題が出る

この検査は、陰性=罹患していないという意味ではありません。資料の注が多かったのはそういうことです。

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再度掲載しますが、注がいっぱい

※2陰性の場合は必要に応じてPCR検査等を実施。
※3確定診断としての使用は推奨されないが、(略)

なので、陰性でも「陽性かも知れない」で動く必要がある訳です。なので、ここで陰性の場合のフローを作って陽性前提のものを変更すると、かえって問題が生じます。

文科省もそのことが分かっているのか、以下のように資料に書いています。

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そしたら検査自体いる?

負担が激増する

まずこのキット導入による負担が発生します。ちょっと養護の先生では無いので全部は思い浮かばなくて申し訳ないのですが、

  • 実施するためのマニュアル整備
  • 学校医との連携
  • 保護者への事前の通知と同意書の取得
  • 児童の導線を考えた部屋のレイアウト
  • 廃棄物などの処理フローの作成
  • ビニール手袋などの備品発注
  • 実施に際しての当日連絡

なんかが考えられます。

保健の先生が過労で死ぬ可能性まである。

本来の医療従事者向けのガイドラインですら、こういう指示なんですよ。

  • 医療従事者の管理下で実施することが原則
  • 医療従事者が常駐していない施設で迅速に行う場合は、「検体採取に関する注意点等を理解した職員(引用者注:すなわち養護教諭)」の管理下で適切な感染防護を行いながら実施。

これを全小中学校で実施できるのか。今一度考えていただきたいです。

できるかできないかで言えば、やっちゃうんでしょうけど、本来の業務はどこへ?

9月の保健の先生は、いつもなら身長体重を測る発育測定やら、新入学児童の就学時健診の準備やらで忙しいはずなんですけどね。

 

Twitterの声

教員の本来の仕事をさせてください。一見すると良い制度に見えてしまいますが、実施する側の負担が許容量を超えてしまいますので、明確に反対の立場を取りたいです。私は先に2学期が始まった北海道の動きに注目しています。皆様がご安全でありますことを祈っております。

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