とうとう導入されたChromebook
とうとう本校にもGIGAスクール構想の波が押し寄せ、Chromebookが導入されました。導入されたのはAcerのSpinです。
教育委員会ががんばってくれたおかげで、回線およびWi-Fiが快適。
有線かと思った。
とは言え、みんなが使ったらそりゃ速度落ちます。
これ、クラス全員でYouTube見ている時の測定結果です。なるほど。余裕じゃん。
隣の市は回線がパンクして、Wi-Fi使っていい時間が学校毎に決められているらしいです……。
あとは地味に充電保管庫の作業が闇でした。
PD対応の充電器なので配線死ぬ。これ大丈夫なのか。
どれだけがんばっても1クラスあたり45分程度はかかります。とりあえずやりきったので良しとしましょう。業者にやってもらうのが本当はオススメですよこれ。
そして開封の儀をして、子どもたちにはラベルを貼ってもらいました。
子どもたちにとっては、待ちに待ったChromebook。
とりあえず使いまくってみました。
作業用BGMを聞きながら課題に取り組み始めた子
初日。社会で日本とつながりの深い国についての調べ学習。
今までならノートに書いているところですが、ドキュメントにネタ帳を作らせ、それを元にスライドの共同編集で班ごとの発表に落とし込んでいきます。
そしたら、いました。
イヤホンしてる子!
何をしてるのかと思えば、YouTubeで作業用BGMを流しながら課題に取り組んでるわけです。真面目に。
しかしながら、子どもたちの間でも「○○さんがイヤホンしてる!」とちょっとした騒ぎになります。
さぁ。始まりました。ここが勘所です。
「じゃあ、クラスでどうしたらいいか、みんなのルールを作ろうよ。」
クラスでの会議
先に言っておきますが、
「授業中にイヤホンをしているなんて、けしからん!そんなもん禁止だ!」
が、一番早いですよ。
でも、そうやって何から何まで禁止にして、何を学ばせるのでしょうか。
そもそも、授業中にイヤホンをしていようが何だろうが、授業の目的が達成されればいいわけです。オンライン授業でイヤホンするな、とか言いませんし。
イヤホンをするかしないかを、主体的に選択するための基準、ルールがクラスの中で、構成員によって作られていれば、誰もが納得した状態の幸せな教室を作ることができます。
こちらの考えを押しつけることはしません。でも、考えは説明します。
「あのね。イヤホンをするという行為は、基本的にはあなたの話を聞いていませんという意思表示にもなり得るのよ。そして、私は授業中に聞いて欲しいことがもちろんあるんです。そのような時に聞いてくれない状態もOKにしてしまうのは、ちょっと違うと思うんだよね。そこら辺を踏まえて、みんなの考えでルールを作っていきたいんだけど、どんな風にしたら良いと思う?」
イヤホンをすることのメリットを説明する子、デメリットで反論する子、そもそも何のためにChromebookを使っているのかについてまで話題は波及し、10分程度の話し合いとなりました。なかなかに面白い会議でしたよ。
そして、普段の学級経営が出やすい部分かなと思います。さて。どうなったでしょうか。
クラスでの結論
結論から言うと、
- 両耳しても良い
- 話を聞く時は聞くという切り替えをしっかりつける
- 課題に取り組む助けとなるなら良いが、課題を放って聞くのをメインにしてしまうなら違うからやめる
- 宿題を忘れた日は使用不可(謎
- やってみて運用が上手くいかない場合はまた話し合う(これは私からの提案
というルールに落ち着きました。
宿題忘れた日うんぬんは、給食のおかわりと同じルールです。(宿題忘れるとおかわりが最後になるルール。)
その翌日。イヤホンしている子を数えたら14人。
課題ですか?ちゃんと出てますよ!バッチリやってます。
「イヤホンつけさせるとYouTubeを隠れて見てしまうことがあるし、何をしているのか把握できないからダメー!」と思っている方がいるのでしたら、ウチのクラスの様子を見れば良いと思います。多種多様な曲が流れている気配はありますが、課題にはバッチリ取り組む。何ら問題ないです。近くの人と相談するときはイヤホン外してますし、そこら辺の切り替えはむしろ大人より上手いかもしれない……。
ま、ちょっと道を外れそうになっている子に対しては、私が机間指導でチラッと目線を送れば止めます。
だって、自分たちで作ったルールであるし、守らないと今の状態を維持できないということが分かっているので。
そうやって、自分たちでルールを決めて、運用する経験を積ませることこそが、本当は大事なんじゃ無いかなーと思います。
まとめ
実は私、授業中にイヤホンしている様子を見て、「おいおい。さすがにイヤホンはどうなんだ……?」と一瞬焦ったんですよね。でも、それって「他の先生に対してどう言い訳したいいんだ……?」という違う部分に対しての焦りであって、本質ではなかったなーと思います。
「大人だって○○なんだから、子どもは○○すべき!」みたいな価値観の押しつけは良くないと思った次第です。
前回の記事では、カメラが制限されていることに対して、大人だって盗撮するのにみたいなことがコメントであったんですけど、だったら子どもには、カメラを制限させるのではなく、正しい使い方を身につけさせるべきだと思うんですよ。
言い方悪いですけど、そうやって遠ざけてきたからこそ、大人が使えないんですよ。
学校でSNS禁止しまくってたから、使い始めた途端にSNSで炎上する若者が多かったように、何でも禁止にした状態で学習を進め、急に大人になったから解禁します、では上手に使えるはずがないんです。
どうやって、デジタル機器を自分の手足として使っていくかは、本人が考えて習得していくしかないんですよね。
もちろん、段階を踏んでという意見には賛同できるので、制限することを絶対悪という風には思いませんが、制限するのであればどこかで解禁して使い方を教えるところまでをセットとして考えて欲しいとは思います。
北欧の学校授業では、パソコンで作業しながらイヤホンで音楽聴いている子をよく見ます。最初驚いたのですが、「周りに迷惑かけていないんだから、別にいいでしょ」先生方も全く気にしない。日本ではちょっとした騒動になりそうですね。
— 豊福晋平: TOYOFUKU Shimpei (GLOCOM) (@stoyofuku) 2021年2月21日
多くの学校では一律禁止になるので起きないかも知れませんが、騒動としては起きてほしい。
話は戻りますが、イヤホンの会議が終わったあと、次の会議が開かれました。
「休み時間にYouTubeを見るのはアリなのか無しなのか。」
さ。これに対して子どもたちはどのような会議をしたでしょうか。次回に続きます。