審判の時来たる
いや、これは避けて通ってはならない問題なんですよ。
私もお声がけいただいて2冊の本に関与させていただきましたし、オンラインでの記事もいくつか掲載して頂くことが出来ましたが、そのどれにも「結局テスト結果はどうだったのよ」というのは載せていなかった訳です。
オンライン授業いいよー
繋がれるよー
授業もできなくは無いよー
って言うだけじゃダメで、
「オンライン併用でもこれだけの結果が出ますよー」って言えないと。
とは言え、生データ載せる訳にもいきませんので、大体の印象で報告します。
はじめに
ここであえて「学力」としていないのは、テスト結果=学力とは言えないでしょうし、色々と定義してしまうと、そもそも論での話に終始してしまうからです。
また、テスト結果以外のデータを語るほど取っていない(取ってはいるけれども定量的に比較できるほど取ってはいない)というのもあります。
なので、シンプルにテスト結果です。ただしざっくりと。
あ、6年生のお話です。
ニュースでは
プリント学習をした千葉市が、アンケートを採っていました。
記事より引用します。
新型コロナウイルスの影響による臨時休校の期間中、ほぼすべての学校では教科書に沿ったプリントを課題として出していました。
しかしそれを使った家庭学習の結果、学力が定着しなかったため、「授業で再度、学習し直す内容がある」と答えた学校は小学6年生、中学3年生で87%、それ以外の学年でも86%に上り、家庭学習の効果は十分でなかったと考えている学校が多いことがわかりました。
千葉市だけではありますが、おそらくどこもこのような感じのはずです。
算数
まず算数です。
算数は休校期間中に1単元のオンライン学習(動画配信による学習+小テストによる理解度テスト)を行っています。
算数を担当したのは私。
学校再開後にやったのは、レディネステスト。
その後に子どもたちによるコース選択。
自信がある子を集め、点数が芳しくなかったり、そもそもオンラインでの学習をしていない子はじっくりコースに集めるといったコース分けをしました。
(余談ですが、コース分けするために子どもたちがクラスの垣根を越えて動くので、授業の前後に教室の消毒をし直すという手間が発生しておりますが、そのコストを支払ってもやりたかった。)
時数ですが、本来の時数よりも3時間程度減らして実施することに。(まったくやってない子もいるので)
それで、自信のある子達には、この際なので線対称の面白さにどっぷりハマってもらうことにしました。
線対称と点対称。
— すずすけ@Type_T / ブログ「パパ教員の戯れ言日記」 (@szsk_edu) 2020年6月22日
休校中にTeamsの授業動画で学習して、レディネステストでも好成績な子には、単元のまとめだけ確認したら存分に面白さに浸ってもらう時間を取りました。(学年の他の先生が担当!)
そして出来上がった線対称の切り絵。
すげええええ! pic.twitter.com/VwmYdej9MX
んで、私はじっくりコースの担当を。
良かったこと
まず良かったのは、こっちがガッツリ教材研究してあるということ。
なので、無駄なところはカット。じっくりコースの子どもたちでも、見ている子はいて(自分の意志でやり直したいと思った子も来ている)、そういった子はやり直して安心感を得ている一方で、全くやっていない子に対しては手厚く見られて良かった。
スムーズかつ手厚く。持ち上がりのために子どもたちの個性も把握済みなので、指導も柔軟に変更しながら対応できました。
結果
業者のテストは、平均点が80点になるように作っているらしいのですが、今回この単元の平均点は89点。満点の子はクラスの3割ちょっと。何よりも嬉しかったのは、日頃算数が苦手で白紙で出しちゃうような子も、ちゃんと解いて、それなりの点数を取っていたこと!要するに、手厚く見られたので、自信がついた子が出たと言うこと。
ただ、逆のパターンもあって、自信たっぷりコースに行っていた子(もちろんレディネスでは良かった)が、本番では不本意な結果になったケースもありました。精度を上げないとなりません。
(また、線対称点対称はテストの結果が高くなり易いという経験則ベースでの話はありますので、鵜呑みにし過ぎるのもよくありません。)
次行きましょう。
社会
公民分野ですが、私以外の2人の先生によって2単元をオンライン学習。
授業はかなりのハイペース。年指通りにやる時数の3分の2程度の時数。
NHK for Schoolで、社会にドキリという新しい番組が始まっていて、活用しました。(途中から、主人公がリモート出勤になっているのがリアル)
はい。こちらの結果も同じく9割程度2単元。
満点も同じ割合くらい。無理なく終了。
理科
オンライン学習は2単元。(私以外の先生)
これが大変でした。
何しろ、実験が出来ない。
正確には、実験するなら全部消毒するという制約が発生して、実験できそうにない。
なので、ものの燃え方は割り箸燃やしただけです。密を避けるための分散登校中に校庭でやりました。
そして、授業がですね、コレがまた成立しづらいんですよ。
理科の実験は予想して、実験して、考察して、結果を導くという流れを辿っているのですが(私は)、Teamsで見ちゃってるもんだから、知っている訳です。
ただ、それだけだと面白くないんで、もうちょっと深くツッコミを入れて考えさせました。
例えば、ビンの上のフタが空いている時は、ろうそくの火は燃え続けるのですが、ビンの底に穴を開けて上げ底にした状態では、ろうそくの火は消えてしまいます。
実験で言うならば、底に穴を開けていても、線香の煙が入っていかない=空気の入れ替わりが起きない ため、空気中の酸素が使われ火は消える、といえますが、そもそもどうして煙が入っていかないのかについては、掘り進めません。
なので、ここを敢えて掘って、予想を描かせたり、意見を出し合ったりしました。あたためられた空気は上にのぼるから、みたいなのを切り口にしていった記憶があります。(曖昧
あとは、大科学実験を見て、鉄が燃えると重くなることを追加で知ったりもしました。
次のヒトや動物の体については、そもそもこちらは調べ学習的な要素も強い単元のため、オンライン学習とは相性が良かったです…が!
あげられている「唾液の作用を調べる」実験と、「呼気に含まれている二酸化炭素について調べる実験」は完全アウトで出来ません。
そして、テストの裏はまるまる唾液の実験について。
とりあえずやり方までは確認したんですが、できないの、申し訳なかった…。
実験が出来ないので、時数はガリガリ削られて、両方合わせても11時間程度です。17時間が配当なので、6時間くらいは減った計算です。
とまぁ、紆余曲折ありましたが、子どもたちがちゃんと学んでいてくれていたのか、テストの結果は社会とほぼ同じ。9割程度の平均点。ただ、満点はちょっと少なかったかな。1問ミスが多かったように思います。
謎の効果
ここまでが、オンライン学習でちゃんと取り扱ったものですが、謎の効果も起きました。
漢字テストが何故かすこぶる上がった。
確かに漢字の学習は宿題に出したんです。今回はかなり丁寧にドリル+ドリル専用ノート(ドリルに沿った枠が全部書いてある)という布陣で渡していたので、休校期間中にやっといて、と言っても一人でカンペキに出来る内容だったんです。
それで、この前漢字50問のテストしたら…90点以上の子が7割以上。
オンライン学習では漢字は取り扱っていなかったのですが、何故でしょう。まぁ上がったのでいいです。
まとめ
完全にオンライン学習のみでの結果ではないのですが、ハイブリッドでもう一度おさらいしていく形を採ったところ、省けるところは省き、手厚くするところは手厚くする、探求したい子は更に探求すると言った活動が可能になり、テストの結果も良かったという結果でした。
ちなみに、元からこれだけ取れている子達じゃないかという疑問にはこのエピソードを。昨年度、九九の定着のために百ますかけ算を一年間し続けた学年です。後は察してください。
という訳で、オンライン学習なんか…みたいに言うのもまた違いますし、オンライン学習正義、というのもまた違うように思います。
要はいいところを採っていけるかどうか。
結局これも手段に過ぎない訳ですから、どこで使っていくのか、どういった活用をするのかについては、精度を上げていく必要があるわけです。
そのためには、食わず嫌いしてないでやってみて、成功したり失敗したりしたことをちゃんと分析して、どういう風にしていくのかということを考えて行かないとなりません。
今回は結果しか書いていませんが、この後学年などで分析をし、第2波が起きた時に備える必要があります。
それで精度が上がってきたら、普段の授業でも活用できるじゃ無いですか。
例えばクラスでまとめを作るときに、Googleドキュメントに班ごとに共同編集しようぜーとか、そういう授業の形式が出来るわけです。これって、端末が入ったからすぐ出来るかと聞かれたら、それは無いと思います。日頃からの試行錯誤があって、こうやると子どもたちにも有用だというこちら側の理解があって、それでどうやって子どもたちに下ろしていこうかという想いがあって、やってみて、失敗しながらも積み重ねていくことで、徐々に上手くなるもんだと思うんですよ。
赤ちゃんがいきなり走ったら怖いです。
どうも世の中の教育の変革反対派(=オンライン学習やりたく無い派)は、赤ちゃんが走らないと結果として認められない(からやらない)人が多いようなんですけど、まず赤ちゃんだったら首が据わらないと。ちょっとずつでも良いじゃないですか。
ただ、そんなときに、「効果も確認できてないのにやるの?」という方に対する説明資料として、今回のうちのクラスのケースはちょっとでも交渉材料になり得る結果だと思います。少なくともプリント配ってやりきったと思っている教委の方がいるとしたら、ハイブリッドはやろうと言いたい。全員じゃなくても、再開時に軽重つけられるだけで、こちらの余裕が違います。
関わった本を宣伝して終わります!(ダイマ
こっちは最新刊ですが、こっちには「お前の学校だけやるのか」という意見に対して、どう市内で振る舞えば良いのかについてまで書いてます。笑
最後までお読み頂き、ありがとうございました。