このサイト、結構前から話題にはなっていたのですが、ここでは取り上げていなかったので紹介します。
その名も「基本自治体 教育ICT指数サーチ」。このサイトはスゴいです。
基礎自治体 教育ICT指数サーチとは
このたび公表した「基礎自治体 教育ICT指数サーチ」は、京都府の3自治体を除く全国1738の基礎自治体の教育行政データ、ICT整備データ、国勢調査データ等を簡単に検索して閲覧、印刷できるウェブサイト。全国の学校関係者や自治体担当者等に広く活用されることを企図しての公開となる。
簡単に言ってしまえば、自治体の教育ICT整備状況を人口などと照らし合わせながら見ることができるサイトです。
人口と比べるということで、例えば児童生徒用のパソコン1台で、何人の児童生徒をカバーするのか、といった指数も表示されます。
この基本となる情報は国の調査に基づいていますから、おおよそ正確な情報です。(この調査に回答しているのは各校の情報担当ですよ!皆さん今回も来ましたよね!回答お疲れ様です!)
おっと。本題に戻りましょう。
例えば、価格だけが話題になってしまった渋谷区はこんな感じ。
予備があるのか、一人1台である1.00人ではなく、1より小さい数になってます。ステキすぎる。
渋谷区の結果のページからリンクされていた、埼玉県狭山市のデータはこうなります。
16人で1台を使っているんだね…。へぇ…。
狭山市を例に挙げながら他の指標も見てみましょう。
1台45,000円は、国のGIGAスクール構想に則った値段です。狭山市が本気で整備して渋谷区並みの整備率にしたい場合(整備率だけです。スペックとかは別として。)4億3千万円のPC代が必要という試算がもう自動でなされています。
他にも色々な情報が見られて…
色々と丸裸にされてます。
最下位を見てみよう
どこかは探していただきたいので伏せますが、最下位はこんな感じ。これでプログラミング教育できるのか…。
ただ、これは平成30年の情報ですから、変わっているかも知れない点には注意です。
上位が悲しい
それでは、どんな自治体がトップなのでしょうか。全国1~3位を見てみましょう。
第1位
第2位
第3位
明らかに過剰なPCの量…では無いんです。
実は、この3つの自治体は全て、福島県にあります。
全国一位であった、浪江町のサイトからこの順位の理由となる一節をご紹介しましょう。
平成23年3月11日の東日本大震災は、福島、宮城、岩手を中心とした東日本全体に甚大な被害をもたらしました。福島県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故のため、双葉郡の市町村の住民は避難を余儀なくされ、浪江町21,000人の町民は全国に散り散りになりました。その後、浪江町内の避難指示が継続する中、除染やインフラ復旧、生活基盤の再生を進められました。平成29年3月31日には、一部地域の避難指示が解除され、一部地域での居住ができるようになるなど、復興に向けた取り組みを推進しています。一方、現在も多くの町民が福島県内外での避難生活を余儀なくされています。
そうなんです。児童生徒が避難したため、少しの人数しか戻ってきていない。なので相対的に一人あたりのPCの台数が増えたという形です。
児童生徒数、一位の浪江町は17人、二位の大熊町は32人、三位の葛尾村は18人ですもの。
基本データは武器になる
話を戻します。この基本的なデータというものは武器になります。
残念ながら教員にとっての武器にはあまりならない(内側の人間だから)のですが、その自治体に住む住民の武器にはなるはずです。
このデータを基にして、首長や議員に働きかけたり、質問をすることは十分可能だと思います。
というか、多分市長はこういう風にランキングになっていることを知らないと思います。全国的に低順位であることを示し、どのように対応をとっていくつもりであるのか質問する材料にはなるはずです。
国は今、GIGAスクール構想を進めるため、(色々と面倒なことはあるのですが)予算をつけています。ここで一気に整備を進めるか、それとも整備しないか。分かれ道に思いますが、市民が動くことで変わることはあるはず。
例えば静岡県のみなさん。市長会ではこんなことを言ってましたよ。
各市長から「拙速すぎる」「財政負担が大きい」などと批判や不満の声が相次いだ。
なるほど。では、静岡県のデータを見てみましょう。
小学校で言えば、47都道府県中35位。
ただ、一番下。財政力指数は全国4位。
色々と使い道はあるのでしょうが、もうちょっとがんばっても良い?
埼玉県なんかもっとですよ。
でも、埼玉の各市では検討してちゃんとGIGAスクール構想に向けて予算を取る動きが見受けられます。少なくとも私が勤務している市では補正予算が通りました。超ありがとう。
まとめ
この「基礎自治体 教育ICT指数サーチ」は、現状を的確に把握し、比較できるサイトとして秀逸です。地方自治体の担当者のみならず、その地に住む住民がチェックすることで、働きかけることができるでしょう。
もちろん、地方自治体の予算は教育にだけ割けばいいという訳では無いのですが、かなり前から文科省は整備しろ整備しろと言ってきたのに、ここまで後回しにしていることも問題ではあるはずです。
お子さんがどのような環境で学習を受けるのか考える1つの材料としてご活用ください。教員のみなさんは異動先の検討にいかがでしょうか。笑