パパ教員の戯れ言日記

このブログの発信は個人としての発信です。こんな教員もいるのかと思っていただければ幸いです。

教員が受ける3万円の免許更新講習の中身とは - 放送大学編

講習の中身について書きます

前回のエントリーで内容について書いていないというお声を頂戴したので、内容について、そして受講の流れについて書いてみたいと思います。

教員が受ける免許更新のための講習では、計30時間のうち、6時間が必修領域、6時間が選択必修領域、18時間が選択領域に割り振られています。

(参考資料) 免許状更新講習の内容について:文部科学省 より引用

必修領域とは、全ての受講者が受講する領域をいい、選択必修領域とは、受講者が所有する免許状の種類、勤務する学校の種類又は教育職員としての経験に応じ、選択して受講する領域をいい、選択領域とは、受講者が任意に選択して受講する領域をいう。

 放送大学では、以下のように講座を開設しています。(免許更新のパンフレットより引用)

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今回は、必修でもある「教育の最新事情」にフォーカスしてみましょう。

受講の流れ

まず、大きな流れを確認します。(ネット視聴の場合)

  1. 申し込み、振込を行う(この時点で試験会場が埋まっていると遠い会場になる)
  2. 専用サイトにログイン
  3. 選択した講習のビデオを視聴
  4. ビデオの最後に表示される(音声で案内される)受講確認番号を確認する
  5. 受講確認番号を、専用サイトの受講確認ページに入力
  6. 全ての番号を入力し終わると、テストを受けるための受験票が発行できる
  7. 受験票を持って指定された日、指定された場所でテストを受ける
  8. 可(60点)以上なら認定される

では、行ってみましょう。

教育の最新事情の内容

まず、現職の教員にとってはほとんどが既知の内容です。

例えば、第6章の「子どもの発達障害と特別支援教育」は、大学で教わる内容が主であって、これを知らずに現職で働いている人はほとんどいないと思います。

テキストから引用してきます。

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これ、知らない人います?
特別支援教育コーディネーターは4月の始めの職員会議で校長が指名しますよね。どの学校にもいます。新たに学ぶ内容じゃないのですが、これが「教育の最新事情」に入っています。

なので、ラジオのように流し聞きをしても大丈夫です。というか、流し聞きする人は後述の理由により、まだ偉い方になってきます。

動画はスキップ可能

スキップ可能です。いきなり番号をお知らせしている場所に飛ぶことも可能です。

テストが過去問

テストは12問です。6割取れば良いので、8問正解すれば大丈夫。

では、肝心のテスト問題です。

テスト問題は受講者のみに公開になっているので、内容については伏せます。

分析したのは日曜日の問題です。漏れがあるかも知れません。

問1…過去問

 過去、2013/2/23、2013/8/25、2015/2/21、2015/8/22、2017/3/4に出題されている内容とほぼ一緒です。

問2…過去問

 2016/8/21、2017/8/20、2018/3/3にほぼ一緒の内容が出ています。

問3…過去問

 2014/2/22、2014/8/24、2015/8/23、2016/8/20にほぼ一緒の内容が出ています。

問4…過去問

 2012/8/26、2014/2/22、2014/8/23、2015/8/22、2016/8/21、2017/8/19にほぼ一緒の内容が出ています。

問5…過去問

 2015/8/23、2017/3/5、2018/3/4にほぼ一緒の内容が出ています。

問6…過去問

 2014/8/24、2016/8/21にほぼ一緒の内容が出ています。

問7…過去問

 2017/3/5、2017/8/19にほぼ一緒の内容が出ています。

問8…過去問

 2015/2/22、2015/8/23、2016/8/21、2017/3/5、2017/8/19、2018/3/3にほぼ一緒の内容が出ています。

という訳で、合格ラインの8問、問8までで全部過去問で埋まりました

問9…過去問

 2016/2/27、2017/3/5、2017/8/20にほぼ一緒の内容が出ています。

問10…過去問

 2014/8/24、2015/8/22、2016/8/20、2018/3/3にほぼ一緒の内容が出ています。

問11…過去問

 2015/8/22、2017/3/5、2017/8/19にほぼ一緒の内容が出ています。

問12…過去問

 2015/2/21、2018/3/3にほぼ一緒の内容が出ています。

え…。

全部過去問ですね。

そして、2012年の過去問と同じ内容を出題している「教育の最新事情」です。

この問題はいいのでしょうか

日曜日の試験問題から2問だけ引用します。

問3 教職専門性の発達について述べた,次の1~4のうちから, 適切でないものを一つ選べ。 (中略)

4 教職専門性は大学の教職課程で習得する知識・技術で十分に身に付く。
(引用者注:これが正解)

問4  教職専門性について,次の1~4のうちから,正しいものを一つ選べ。 (中略)

2 教職専門性は,教員採用試験に合格すればそれで十分に保持されている。

(引用者注:前問で誤りであると選んだ選択肢とほぼ同一内容)

連続して同じような設問かつ、同じような選択肢を載せる意味って…。問題のデータベースがあるか知りませんが、コピペで作るからそうなるんだと思う…。

なお、過去問は非公開ですが、「放送大学 免許更新 過去問」で検索しましょう。

こういうのが5科目あります。

まとめ

さて、教員免許更新制度の目的はこうでした。

教員免許更新制は、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。

教員免許更新制の概要:文部科学省より

実際はこうでした

  • 既に知っている内容
  • スキップ可能な動画
  • 番号だけ入れればよい履修確認
  • ほぼ過去問であるテスト
これを形骸化と言わずに何というのか。

おそらくこの記事を公開することで、何てことをしてくれてんだという人は少なからずいると思いますが、やるならちゃんとやってよ、が私の気持ちなので、敢えて書きました。

さて、問います。

この研修に3万円を出して得られるものは、本当に「自信と誇りをもって教壇に立つこと」なのでしょうか。

私には違うように思えてなりません。むしろ、時間とお金をドブに捨てているようにすら思えます。

(個人差があると思いますので、参考になった!という方もいるのは存じておりますし、別の大学で非常に面白い講座を開いていることも知っています。全てが無駄なのでは無いと思いますが、支払うものに対して得られるものがあまりにも少ないのではないかという危惧です。)