教員が多忙過ぎて、本来の業務である授業の準備が出来ないというニュースが話題になっています。
これがまた、Yahoo!ニュースに対するはてなブックマークの意見と、BLOGOSのコメントで大きく違いがあるのが面白い。
はてブでは、
教員の多忙 授業準備できず(内田良) - 個人 - Yahoo!ニュース
現場のリソース無視して無茶な計画立てるマネジメント層。どの業界でも同じ構図。
2017/10/08 16:33
という人気コメントがあるのに対して、BLOGOSでは、
「時間の使い方が下手」だとバッサリです。
そんな中、「予備校の衛星授業みたいに、ビデオでやればいいんじゃないか」という意見がありました。
授業を目の前の教員が行わないという事例は、実は既にあります。
でも、想像されている物とは違うものです。
小規模校での遠隔合同授業という一つの解
小規模校では、子どもの数が少ないので、意見の交流場面で盛り上がりづらいという難点があります。それを解決するために、遠隔合同授業という一つの解があります。
ただ、この合同授業は、向こう側でやっている授業を視聴するだけではありません。
自らも、ICT機器を活用して授業に参加するところが、違います。
そうなんですね。新学習指導要領でも謳われていますが、今の流れは授業参加、積極的なコミュニケーション、いわゆるアクティブラーニングな訳です。
なので、ビデオを視聴するだけの授業は、はなから有り得ません。
学校教育に対して、座ったままで45分が過ぎている、寝ててもとりあえず時間が過ぎれば授業は終わっている、といった認識は、もうだいぶ過去のことになっています。
なので、双方向でないビデオによる授業は、学校の授業として、今後勃興することは無いでしょう。
授業準備をやることが、負担なのかどうかについて
授業の準備には集中力が要求されます。
解決すべき学習課題は何なのか、その解決に至るまでの大まかな道筋はどのようにするのか、その解決に至るためにどのような問いを投げかけようか(発問の吟味)、その問いに対してどのような答えが返ってくるだろうか(児童の反応を想像)、課題の達成においてC評価になってしまう子に対してどのような支援を用意するか、そもそも、どこで躓きがあるだろうか、といった、45分間の流れやそれに至る道筋を考えると、キリがありません。
もちろん、大まかな道筋を立ててくれる指導書であったり、市販の本は色々ありますが、自分の受け持つ児童の実態に沿ってカスタマイズが必要になってきますし、予想通りの反応を示さないときに修正しながら授業を進めるためには、方策をいくつも持っておく必要があります。
そして、このカスタマイズが上手かどうかが、教員としての腕の見せ所です。
なので、授業準備を本気でしようとするならば、かなりの時間(細切れにならずに集中力を維持できる時間)が必要ですし、小学校の教員であれば、それを毎日最低でも5時間分準備する必要が(本来であれば)あります。
実際は忙殺されているので無理ですが、できる限りやろうと考える教員は、どんどん残って深夜までのパターンにはまっていきます。
自分のエントリーからひっぱってきますが、勤務時間終了後はこんな感じで過ぎて、ここから教材研究をやっていたら、まぁ、そのうち死ぬと思います。
休憩時間の終わり、16時35分からは、本校では職員集会が開かれ、報告事項、共通理解事項が伝達されます。終わると16時50分を過ぎています。
本来ならこれで帰るわけですが、帰れるわけがありません。
明日の準備は終わってない、今日電話したい家庭の保護者が帰ってくるのは18時以降だ、運動会のことを考えなきゃ、集金の支払いをしないとだ、次見学に行く場所の方と打ち合わせなきゃだ、旅行会社の方と修学旅行の打ち合わせをしなきゃだ、え、放課後、校庭でうちのクラスの子がケガしたの?ちょっと見てくるね、あぁ、月末だからそろそろ授業時数と出欠席のカウントをしないと、あぁ、学年だよりもだ、え、枝にボールが引っかかったの?しょうが無い、いま脚立もって行くからねー、よしよし。はい?今度は電話ですか?近くの公園で子どもたちが大声を出している?ちょっと見てきますね。あ、いかん、明日の調理実習で使う食材買ってないな、ついでにスーパー行ってきます、戻りましたー、電話ですか?宿題の内容がよく分からない?あぁ、それはですね…、はい、良かったです、明日お待ちしてますね!あ、と言うことは、明日漢字テストだな、前回の分は丸付け…してないですね、はい、やろうか、はーい、忘れ物取りに来た子がいる?じゃあ一緒にクラスまでついて行ってきます、…、気をつけて帰ってねー!、ふぅ、とりあえずお茶でも飲もうか。え?調査の締め切り今日でしたっけ、スミマセン、すぐにやります!えっと、あー、これはアンケートの集計しないとか、アンケートだけは採ったな…3クラス分、とりあえず集計しちゃおう…これはどっちに〇が付いているの…字が雑で読めないぞ…とりあえずこうしておこう、ふう、終わった、あれ、何やるんだったっけ。ダメだ、集中力が続かないから丸付けは持って帰って家でやろ(本当はダメですし、私は家ではほぼやらない人です)。すみません。計画性が無いばかりに。こんな感じで放課後過ごしております。
みたいな感じです。本来の業務はどこ行った状態ですね。笑(えない
空き時間に採点できるテストは調子がよくても2枚(80枚)
音楽の時間は空き時間です。やった。空き時間だ。テストの丸付けをしよう。
40人学級で1枚1分かけると、それだけで40分ですので、残り5分ですね。
実際、1枚1分のペースで丸付けするというのは、かなりのハイペースですが…。
なので、テストの採点は私はテスト時間中に済ませます。出来て自信のある方から並んで頂いて、その場で丸付けです。採点結果がすぐ出るので、テストへの意欲が違います。オススメです。
80枚というのは、漢字の小テストですね。2回分はなんとか丸付け出来ますよ。
まとめ:そもそも無理だと思う
と言うわけで、私の雑感を申し上げますが、放課後の業務が一切消え失せ、全てを授業準備に充てられるようになったとしても、時間は足りません。放課後、休憩時間を除いて使える時間は、15:40~15:45、16:30~16:50の25分間です。それで5教科ですか。無理でしょう。休憩時間を削って70分間。なんとかいけるか…?くらいですね。
と言うわけで、そもそも破綻しておりますが、楽しく、双方向で、子どもたちに学力が付く授業をするために、日々がんばっておりますー。
なお、残業代はつきません♪