パパ教員の戯れ言日記

このブログの発信は個人としての発信です。こんな教員もいるのかと思っていただければ幸いです。

生理についてはまず小4、そして中学校でも教わっている…!

最近ネットで「生理について男性は知らなすぎッ!」という議論が盛り上がっております。

女性がネット上で動画を配信する際に、生理用品が映り込んだことから端を発していますが、このようなエントリーがありました。

anond.hatelabo.jp

追記には「授業でやったぜ、とか、教科書に載っている程度の情報では覚えてない」って書いてありますが、確かに。一理ある。悲しいけど。でも、この単元は教員としてもめちゃくちゃ気合いを入れて指導するところなんですよね。なので、サラッと流すような内容には絶対にならない。内容的に超大事。

1度目は小学4年生で教わる

f:id:justsize:20170601052239j:plain学習指導要領の解説からひっぱってきました。上は3・4年生で教わる保健の領域の模式図です。

まず、体の発育・発達については内容イとして、初経、精通などについて学習すると明記されています。

その位置づけは4年生。なぜなら、早い子は始まるからですね。

なので、精子卵子といった言葉、初経、精通、月経といった言葉、精巣、卵巣といった言葉も登場します。

乳房が発達するなんていうイラストを見て、興奮している男子がいるのが小4です。笑

多分このエピソードで半分くらいの方が「あ、やったわ。」って思ったはず。

小学生の体育学習指導要領

引用してきます。

イ 思春期の体の変化
(ア) 思春期には,体つきに変化が起こり,人によって違いがあるものの,男子はがっしりした体つきに,女子は丸みのある体つきになるなど,男女の特徴が現れることを理解できるようにする。
(イ) 思春期には,初経,精通,変声,発毛が起こり,また,異性への関心も芽生えることについて理解できるようにする。さらに,これらは,個人によって早い遅いがあるもののだれにでも起こる,大人の体に近づく現象であることを理解できるようにする。
なお,指導に当たっては,発達の段階を踏まえること,学校全体で共通理解を図ること,保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である。

最後の行ですが、きちんと年間指導計画に位置づけることや、保護者に、教えますよー、もしかするとご家庭で追加の質問がいくかもしれませんよーみたいなアナウンスをしておくことなどが入ってくるのではないでしょうか。

なお、保健領域はテストもやりますが、90点近く取る子ばかりだったと思います。

男子と女子で分かれての指導がある…?あります!

上記エントリーのブックマークコメントで、男子と女子に分かれての指導があるという指摘がありました。あります。

私の経験上の話で申し訳ありませんが、その際の指導内容は「生理用品の使い方」です。林間学校を前にして、生理用品の使い方を指導しないと、林間学校に生理中の子が困る(かも知れない)という理由になります。

大抵は、そこで花王のロリエが提供するサンプルを渡すことが多いです。

うまく出来てますよね。サンプルで最初に使い始めた用品ってそのまま使うことが多いじゃ無いですか。それを狙ってるんだとは思いますが、これは助かっているのも事実。

www.kao.co.jp

という訳で、生理用品のサンプルも足りないですので、男子はこの時違う話をしております。何だったっけな。

私の実践は…

私が小4で保健の学習をしたときは、ロリエのサイトからリンクされている月経についての動画を見せました。

生理用品の使い方のチャプターまでは見ていないですが、最初の方は見せました。なぜなら、そのクラスには既に初経を迎えていた子がいるからです。男子も知っておかないと急に椅子が血だらけになったりして驚く可能性が否定できないですしね。

www.youtube.com

なお、椅子が血だらけになって驚いたのは、中学生時代の私です。反省。

あ、私は保健の授業をはじめる前に、「これからの話はお医者さんになったつもりで聞いてね。」と前置きをします。そうじゃ無いと一般的にはタブーとされているワードが豊富に登場する授業で照れが入ってしまうからです。大事だからこそ、この時はちゃんと使う。その覚悟の表れとして、お医者さんの気持ちになって、という切り替える言葉を使っています。そして、私も白衣を着ます。大学病院の先生からいただいたホンモノです。聴診器は理科室にありますけど使わないのでしません。笑

中学校でも教わります

私は小学校の教員なので勉強不足のため詳しくは語れませんが、中学校でも教わります。

学習指導要領から。

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イ 生殖にかかわる機能の成熟

思春期には,下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの働きにより生殖器の発育とともに生殖機能が発達し,男子では射精,女子では月経が見られ,妊娠が可能となることを理解できるようにする。また,身体的な成熟に伴う性的な発達に対応し,性衝動が生じたり,異性への関心などが高まったりすることなどから,異性の尊重,性情報への対処など性に関する適切な態度や行動の選択が必要となることを理解できるようにする。
なお,指導に当たっては,発達の段階を踏まえること,学校全体で共通理解を図ること,保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である。

 アンバランスさがある指導なのは否めません

高校の学習指導要領解説には、

また,生殖に関する機能については,必要に応じ関連付けて扱う程度とする。

とあります。要するに、性行為については、小学校、中学校、高校ともに、扱わないということです。

もちろん、耳の早い男子はエロ本やインターネットで情報を得ておりまして、得意げに語っているところを私に見つかって指導を受けるというパターンが繰り返されている訳ですが、授業としては取り扱わないというのは、こちらも結構心苦しいです。小学生を狙う性犯罪もあるわけなので、きちんと内容を教えたほうが良いのではないかな、と葛藤することもあります。

が、大人になって習った記憶が無いと言われてしまうくらいなら、危険な橋を渡らなくていいか…。

大事な事って小学校でも取り扱っているのに何で教わっていない体になってしまうのか…。悲しいですね…。

と言うわけで、生理については小学4年生の保健で。そして中学校でも教わっているはずですよ、というお話でした。