パパ教員の戯れ言日記

このブログの発信は個人としての発信です。こんな教員もいるのかと思っていただければ幸いです。

小数の和と差の末尾のゼロに斜線を引かせる指導の根拠について調べてみた

 まず初めに、私、教員でありながら、掛け算の順序に関しては「別にどっちでもいいけど、指導の時は順序ありでやりますよ」派です。
 テストでは立式において順序が違ってもたぶん〇にします。でも、正しい絵に〇をつけましょうは、違っていたら×にせざるを得ないので×にすると思います。その際は、赤ペンで「一つ分×いくつ に当てはめて考えてみよう。」と入れるかな、という位には、まぁ、掛け算の順序については双方の主張わかりますけど、それってそんなに大事?という感じです。もう、こんなのでいざこざするなら2年の担任はしないとコメントしたこともあります。

 

[PDF]算数を教えるのに必要な数学的素養 : 信州大学教育学部紀要

決めたわ。俺はもう2年の担任をしない

2016/11/24 18:34

 こんなんが教員やっててすみません。

 ただ、もう求積とかになると、縦×横に意味はないと思っているので、順番めちゃくちゃでもいいですわ。あんなの問題用紙90度回転させたら縦横変わるじゃないですか。意味ないです。同じように直方体立方体も順序にこだわらない派です。こだわる先生もいるんですが、何がそんなに気になるのか……。謎ですね。

 さて、そんな感じであまり順序とかにこだわっていない私が、小数の単元において和と差の末尾ゼロを斜線で消させるという指導についての話題を見たとき、「いやいや、別に消さなくてもいいだろうよ。」と思うのは当然の流れであり、逆に、どこにその根拠があるのか知りたくなってしまうのがロマンシング性というもの。

 なぜなら、私が今担任している4年の授業では、「どっちでもいいよ。」で指導しちゃってるからです。

【朗報】3.9+5.1=?という問題で、答え9.0が減点だった案件にフィールズ賞受賞者が結論を出す|しきそく

2学期の終わりにこの単元だったけど、自分は「どっちでもいいよ。こだわり無い。テストは両方○にするから塾で消すのを教わってる人はそっちで。教科書通りにやりたい人は一応消してやってみよう。」と言って進めた

2016/12/27 15:14

とりあえず調べてみた 

はてブの検索に「小数」と入れると、啓林館の説明が出てきています。

小学校算数教科書「わくわく算数」Q&A

うーん。全然意味が分からない。まずもって、小数の指導は3学年からだ。何言ってるのこの教科書サイト。もうこの時点で見るのやめ。

4年の教科書ではどうなっているのか

はい。見てみましょう。
私の勤務校が存在する地区では東京書籍を採択しておりますので、東京書籍、略して東書ではどう考えているのか、紐解いていくことにしましょう。

教員は算数を教えるのに3冊の本を使います。

一つ目は、児童と同じ教科書。
二つ目は、赤刷り本と一部では呼ばれる、教師用指導書。
三つ目は、教師用指導書でさらに詳しいことが書いてある研究編です。

上から児童と同じ教科書、赤刷り本、研究編となっております。今後、東京書籍の小学4年生および小学3年生の算数の教科書、教師用指導書から、引用をして参ります。

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児童用の教科書ではこのページに、末尾を消すことが明記されています。赤丸のキャラクター(ボールという名前です。そのまますぎる。)がわざわざ「答えは0.8だね。」といっています。白々しいぞ。

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次は、赤刷り本。なるほど。「3年生と同じように」末尾を消すんですね。ふむふむ。

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最後に研究編。「答えの0.800は0.8であることや,位がそろっていない計算では,3.6は3.600として位をそろえて計算することを確認させる。」

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いやいや、もうこの時点で矛盾していませんか。なぜ、0.800の0は消させるのに、3.6には3.600と0をつけさせるんだい。0.800は、0.001が800個分と考えれば、不自然な表記でもないでしょうし、逆にそのような数量感覚が身についていない子にとっては、0.001を800こ集めたら、0.8って、ものすごく理解に苦労するんですよね。今回はひっ算のやり方として機械的な手続きになっているのでしょうけれども、そうであるならなおさら別に末尾の0を消すメリットがわかりませんね。

そもそも、3年生ではどう教えているんだろう。気になる。年始の隣のクラスに突撃し、セットを借りてきましょう。

そしたらなんと、この年始なのに持ち帰っているようです。家で勉強してるぞ、隣のクラスの担任は。仕方ない、その隣のクラスだ。うわ、このクラスにもない。この先生も勉強しているのかい。そのまた次のクラスで借りてきました。

同じように3冊セットです。

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まず、3年生において小数はどのような流れで指導されるのか、おさらいしましょう。
はしたの大きさの表し方を考えようというタイトルですが、まず子どもたちにとっては「はした」って何だ、という事になります。ここで、燃え尽きちまったぜ…真っ白によ…と言っても子どもたちはちんぷんかんぷんですから、はしたのジョーと言いたいのをグッとこらえます。

とにかく、今まで考えていた1Lという枠に入りきらない半端な量が出てきたぞ、これどうするんだおい、ということです。

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なんだ、半端が出たんだね。じゃあ、1を10等分して、その1つ分を0.1と名付けよう、となります。

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小数と小数点を教えます。あ、今までの数は整数って言うんだね。

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からの、このページ。

 ★の2に出てきました。 0.8+0.2=1 となる理由を考えよう。という問題です。ちょっと待とう。4年生の指導書には0.2+0.8=1を思い出すって書いてあったけれども演算記号の前後が逆じゃ無いですか。自分から崩していくスタイルなんですかね。

 さて、計算の仕方を言いましょうという問題は、そうなる理由や手続きの方法を述べろという意味です。そういう風に指導しておかないと、「0.8と0.2を足すと、1です。」と言うだけで〇になると思っているやんちゃボーイが出てきます。なので、「やり方やそうなる理由を考えよう」と翻訳しないと通じません。そして、これが赤刷り本だとどうかと言えば…

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★2については、このような解説になっています。

1.0ではなく、1と書いてよいことを確認する。

1と書いてよいことを

書いてよい

なので、別に書かなくても良いんじゃないかと思うんですが、下欄というところにそれを全否定されます。

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はい、来ました。

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結論はこうですね。

「まだ有効数字はやってないから、1.0とは表さないよ。」です。

それだと弱いと思ったのか、1を10等分した数が0.1だから、逆に0.1を10個集めたら1に戻ることを確認できればよい、という風にも書いてあります。

そして何故か赤刷り本よりも根拠が無い、研究編。

十進構造が理解できるよう、0.1を10個集めたら1と表記させよ、という風に読み取りましたが、合ってますか。

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という訳で、調べた結果は以下の通りです。

  1. 有効数字はやってないから1.0とは書かなくて良い
  2. 1を10等分すると0.1になる、逆に0.1を10個集めると1に戻る。その理解のために1.0の末尾0は消して考える

んー。弱いです。この根拠じゃ私は納得しません。
なので、来年度以降も、この単元を扱うとき、質問には「消しても消さなくてもどっちでもいいよ。」と答えると思います。これ、一番辛いのは、「1.0!できた!」となっている、学力低位の子に対して、「最後の0は斜線で消すんだよ。」と言うことで、せっかくの成功体験を台無しにしてしまうことです。

と言うわけで、深夜のテンションで書いたので変なノリが多々ありますが、こちらからは以上です